大人のマナー講座 #1 「椅子に座るのは右から?左から?」

世界で一番、国民の座っている時間が長いのは、どの国でしょうか?

イギリス?フランス?アメリカ?

いえいえ。実は、我が国「日本」なのです。

シドニー大学の調査によると、世界20カ国の総座位時間の平均が300分/日に対して、日本では420分/日と平均から2時間も多い結果となったそうです。

そんな「世界一座っている私たち」ですが、椅子に『世界共通のマナー』があることをご存じでしょうか?

日本古来の習慣では、

・右大臣よりも「左大臣の方が上位」

・和食の配膳では、「ご飯は左、汁物は右*」「お魚の頭は左」

(*諸説ありますが、昔はお米で納税したり石高を量ったり、とお米は貴重な存在だったため、と言われています)

などのように、「左上右下(さじょううげ)」という「左上位(自分から見て左側に上位の方がいらっしゃる)」のマナーのもと、立ち居振る舞われていました。

しかし、明治時代に西洋文化が日本に入ってきてからは、西洋の「右上位」のマナーが定着していった、と言われています。

さて。タイトルの「椅子に座るのは右から?左から?」についてですが、正解は「左から」です。

昔は西洋でも日本の武士と同様に剣を左腰に差しており、右側から座ろうとすると剣が邪魔で座りづらいため、「椅子に座る際は左から」というマナーができたそうです。昔はおそらくただ単純に座りやすいから…という理由だったものが今では立派なマナーになるのですから、面白いですよね。また、右上位の考え方からも、右に自分より上位者がお座りになるので、右から座ったり立ったりすると、上位者のお邪魔になってしまいます。ですので、椅子に座ったり立ったりする際は、「左から」がマナーとされています。

いきなりかしこまった場所でスマートに振る舞うのは難しいものです。次に行く機会が出来た際にスマートに立ち居振舞えるよう、日頃から椅子に座る際は「左から」を意識してお過ごしになってみてはいかがでしょうか。