大人のマナー講座 #9 「正しい敬語、遣えていますか?」 ②「~ますでしょうか」編
先月は「~させていただく」の正しい敬語表現についてご紹介いたしました。今までは他の方の間違った表現を聞き流されていた方も、「!」と気づくようになられた方もいらっしゃるのではないでしょうか。今月も正しい敬語表現を認知いただくため、「『~ますでしょうか』の正しい遣い方」についてご紹介いたします。
「今お時間ありますでしょうか?」
「エコバッグはございますでしょうか?」
「こちらの内容をご確認いただけますでしょうか?」
「○○様はいらっしゃいますでしょうか?」
というように、電話やお店などで言われることが多い「~ますでしょうか」ですが、実はこれも不適切な敬語表現なのです。
なぜ「~ますでしょうか」は適切な敬語表現ではないのでしょうか。それは、「~ますでしょうか」が丁寧語+丁寧語の【二重敬語】だからです。二重敬語とは「尊敬語+尊敬語」のように、【同じ種類の敬語を重ねて使うこと】です。敬語を重複して使うことは過剰な丁寧さとなるため、二重敬語は避けたほうがいいと言われています。ですから、丁寧の助動詞「ます」と、疑問詞「ですか」に推量の意味の丁寧語「でしょうか」を組み合わせた「~ますでしょうか」は敬語として不適切なのです。
では、「~ますでしょうか」の正しい表現についてご紹介いたします。
■「ありますでしょうか?」
→「ありますか?」(最も程度の低い敬語表現。親しい間柄の方や店員さんなどに使う)
→「ございますか?」(「ありますか」より丁寧な表現。ビジネスシーンや目上の方に使う)
→「おありですか?」(最もかしこまった表現。初対面の方やお客様に使う)
※「おありでしょうか?」もOK
■「ございますでしょうか?」
→「ございますか?」
■「いらっしゃいますでしょうか?」
→「いらっしゃいますか?」
したがって、初めの例文は、
「今お時間ありますか?/今お時間ございますか?/今お時間おありですか?」
「エコバッグはございますか?」
「こちらの内容をご確認いただけますか?」
「○○様はいらっしゃいますか?」
が正しい敬語表現なのです。
いかがでしたか?先月の「~させていただく」と同じぐらい耳にする機会の多い「~ますでしょうか」ですので、不適切な表現だと初めて認識された方も多いのではないでしょうか。日本語(特に敬語)は本当に奥深く、何十年も使っていても「知らなかった!」「実は間違っていた!」なんてこともありますよね。ぜひこの機会に日本語について興味をお持ちいただけると嬉しく思います。